NDA(Non-Disclosure Agreement, 秘密保持契約書)作成時の注意点
- Tomoharu OGAWA

- 7 日前
- 読了時間: 6分
更新日:6 日前
取引先と新たにビジネスを始める際に、お互いの秘密情報をやり取りしますよね。ただ、その秘密情報に関して秘密保持の契約を事前に締結していないと、秘密情報を目的外に利用されてしまったり、第三者に開示・漏洩されてしまうかもしれません。また、秘密情報が漏洩してしまうと、企業に損失が発生する可能性もあります。そういったことを防ぐために、新しい取引先と秘密情報を交換する前に、NDA(Non-Disclosure Agreement、秘密保持契約)を締結します。今回は、そのNDA締結時の注意点について記載したいと思います。

秘密情報の定義
”Confidential Information” (秘密情報) をどう定義するかがとても重要です。秘密情報の範囲を広げれば、情報開示側に有利、狭くすれば情報受領側に有利となります。例えば、秘密情報を、情報開示者の「営業上、技術上、その他一切の情報」のように定義すると、秘密情報の範囲がとても広くなり、情報開示者としては、情報受領者が秘密として取り扱わなければならない情報が増えるので、情報開示側が有利になり、反対に、情報受領者は、秘密保持義務を課される情報が多くなるので、不利になります。ただ、情報受領者としては、このままだと不利なので、秘密情報の範囲を狭くするようカウンターの修正提案をしてきます。例えば、「営業上、技術上、その他一切の情報」のうち、書面で開示するものについては、「秘密」である旨を明示した情報、口頭で開示した情報については、●日以内(14日、30日など)に「秘密」である旨を明示した情報、などとカウンターを打ってきます。私の経験上、最終的にこのような内容に落ち着くことが多いです。
目的外利用の禁止、第三者への開示又は漏洩の禁止
NDAを実効的なものにするために、目的外利用の禁止に関する規定はとても重要です。通常であれば秘密情報は外部に開示したくないものですが、業務提携、サービス利用の検討などの目的のためにNDAを締結し、秘密情報を相手方に提供します。この目的のためにのみ秘密情報を開示するので、情報受領者はこの目的以外の目的で利用してはなりません。このことを規定するのが目的外利用の禁止です。また、目的のために秘密情報を利用したとしても、情報受領者とはまったく関係のない第三者に開示又は漏洩されてしまっては、情報開示者としては困ります。そのため、第三者への開示又は漏洩の禁止に関する規定もとても重要です。なお、この「第三者」には、目的を遂行する上で秘密情報を知る必要のある自社の役員、従業員や弁護士、税理士などの法律上の守秘義務を負うものは除外する、と規定することが一般的です。
秘密保持期間について
いくら契約書内で秘密保持義務を規定したとしても、その期間が短いと実効性がありません。情報開示者としては、例えば契約期間を3年間、その後は1年毎の自動更新などとし、期間を永年としたいところですが、情報受領者としては、秘密保持期間が永年だとすると負担が大きいので、上記の例ですと、契約期間を3年間、契約終了後3年間は、秘密保持に関する規定は効力を有する、などと修正提案をすることが多いです。
秘密情報の返還、破棄について
情報開示者が要求した場合、または契約書の有効期間が満了若しくは契約解除・解約等で終了した場合、秘密情報を情報開示者に返還するか、情報受領者が破棄することを規定することが一般的です。情報開示者としては、情報受領者が返還ではなく破棄した場合に、破棄証明書を交付してもらいたい場合もありますので、破棄証明書を求めることが出来る旨を規定することもあります。また、情報受領者としては、法令等の要請により、秘密情報の保管義務が生じる場合もありますので、「法令等の要請により保管義務が生じる場合はこの限りではない」といった修正提案をすることが考えられます。
秘密情報に関する権利について
秘密情報に関するあらゆる権利(知的財産権を含む)は、情報を開示したとしても情報開示者に留保され、情報受領者に何らの権利を付与するものではないことを明記しておく必要があります。秘密情報は、目的(業務提携やサービスの提供)のためにのみ開示するものであって、それらに関する知的財産権などの権利を情報受領者に与えるものではありませんので、それを明確にする規定です。
差止請求について
情報受領者が情報を目的外に利用した、第三者に情報を漏洩したなど、契約に違反した場合、金銭賠償では補償が不十分な可能性があるため、情報開示者は情報受領者に対して、一時的または恒久的な差止命令や履行命令を求めることが出来る旨を規定することが情報開示者にとっては重要です。
損害賠償について
情報受領者が情報を目的外に利用した、情報を第三者に漏洩したといった契約違反があった場合に、情報開示者が情報受領者に対して損害賠償をすることが出来るよう規定するものです。ここで、よく争いになるのが、「損害」の範囲です。情報開示者としては、損害の範囲が広い方が賠償金額が大きくなりますので、損害の範囲を「和解費用、弁護士費用、裁判費用、その他の契約違反から生じる合理的な費用を含む全ての損害」などとして、広く定義したいところですが、反対に、情報受領者としては、自身が損害賠償を提起される可能性が高いことから、「逸失利益及び懲罰的損害賠償を含むがこれらに限定されない、付随的、結果的、間接的または特別の損害については責任を負わない」などとして、損害の範囲を狭めたいところです。
準拠法及び裁判管轄について
契約を締結する当事者が両方ともカリフォルニア州内の法人(または個人)であれば、準拠法はカリフォルニア州法、裁判管轄は、カリフォルニア州内の州裁判所又は連邦裁判所としておけばよいですが、相手方が他州の法人(または個人)の場合、準拠法と裁判管轄をどちらの州にするかで争いが生じる恐れがあります。この場合、相手との力関係により、自身の立場が有利な場合、自身の州とすることができる可能性が高く、相手の立場が有利な場合は、相手の州とせざるを得ない場合もあります。立場が対等な場合は、中立の第三州を選択することも考えられます。
弁護士紹介
担当弁護士:小川 具春は、上場会社の元社外役員としての経験を有し、日米IPO実績4回(旧東証二部、旧東証マザーズ、東証グロース、NASDAQ)に関与してきました。上場会社における企業法務に約18年携わった経験を踏まえ、成長企業・上場準備企業に求められる実務水準を意識したサポートを提供します。日本語でのご相談が可能です。
お問い合わせ
カリフォルニア州弁護士 小川具春
TomOgawa Law Corporation
c/o Momiji, 6080 Center Drive Suite 600, Los Aneles, CA 90045
(日本語/英語) 対応エリア:(カリフォルニア州全域)
問い合わせはこちらからお願いいたします。



コメント