昨今SNSの普及により、大半の方が、Facebook, Instagram及びTwitterなどのSNSを利用していらっしゃると思いますが、投稿内容を送信前にきちんとチェックしないと、知らぬ間に他人の著作権を侵害しているかもしれませんので十分に注意が必要です。
著作権とは
まず、著作権法における著作物とは何かを説明します。
著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」(著作権法第2条1項1号)。例えば、小説、新聞、雑誌、論文、絵画、楽曲、映画などです。
また、「著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。」(同第51条1項)、「著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)七十年を経過するまでの間、存続する。」(同第51条2項)とあります。つまり、著作権は特許権、実用新案登録等と異なり、特許庁への登録を要さず、著作物を創作した時点から権利が発生し、著作者の死亡後、70年間保護されます。
著作権は、著作者人格権並びに複製権、上演権・演奏権、上映権及び公衆送信権等より構成されます。今回のSNS投稿に関しては、複製権及び公衆送信権が関わりますので、この二つに絞って説明を展開していきたいと思います。
複製権とは
「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。」(同第21条)。ここでいう「複製」とは、「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。」(同第2条1項15号)。よって、著作物を写真に撮る行為は、著作権法における「複製」に該当します。
ただ、他人の著作物を写真に撮る行為が全て複製権を侵害するわけではありません。複製権にも一定の制限があり、「著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。」(同第30条第1項)とありますので、私的使用で他人の著作物を写真に撮る行為は、複製権侵害には当たりません。
また、著作物を他人が利用することに関して、「著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。」(同第63条1項)とあり、「前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる。」(同第63条2項)とあります。
したがって、私的使用の場合を除いて、著作者の許諾を得ない限り、その著作物を写真に撮ることはできません。例えば、小説のページ、雑誌の記事及び新聞の記事等を私的使用以外の目的で、無断で写真に撮る行為は、著作者の複製権を侵害しております。
公衆送信権とは
「著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。」(同第23条1項)とあります。
ここでいう公衆送信とは、テレビ・ラジオなどの無線通信、ケーブルテレビ・有線ラジオ放送などの有線放送、ウェブサイトでのコンテンツ掲載、インターネット広告及びSNS(Facebook, Instagram及びTwitter等)投稿などの自動公衆送信を言います。
つまり、他人の著作物を写真に撮って、著作者の許可なく、SNSで投稿する行為は、著作者の公衆送信権を侵害することになります。雑誌記事、新聞記事、小説、漫画等の写真をSNSで投稿する場合は、本来であれば、著作者に承諾を取る必要があり、承諾の無い場合、その著作者から著作権侵害を主張される可能性があります。
Facebookなどで、インターネット上の新聞記事のリンクを貼った場合、当該記事のサマリー文章と画像が自動で表示される機能があります。この場合ですと、単にURLリンクを貼る行為は問題ないのですが、自動で現れた文章や画像をSNS上で投稿すると、新聞社やその記事を書いたライターの著作権を侵害している可能性があります。
まとめ
では、他人の著作権を侵害せずにSNS投稿をするにはどうすればよいか。それはズバリ、掲載するコンテンツを全て自分で作成することです。他人の記事や画像、動画を引用すれば、簡単かつ効果的なコンテンツを作成することが出来るのは、いわば当たり前です。他人が作成したアイデアを無許可で使用しているわけですから。
もちろん、SNSが普及した昨今においては、他人のSNS投稿を全て監視することは不可能なので、仮に他人の著作権を侵害したとしても、具体的に差止請求や損害賠償請求等の訴訟を起こされるケースは決して多くは無いと思います。実際、読者の皆様が他の方のSNS投稿を見た際に、本ブログに掲載されている行為を見たことがある方が大半だと思います。しかしながら、他人はやっている、やったとしても著作権者から権利を主張されることが少ないからといって、他人の著作権を侵害していいことにはなりません。大企業ではそういったSNS投稿を監視する体制を構築している場合もあり、悪質なケースにおいては、実際に差止請求及び損害賠償請求等が発生しております。自己責任ではありますが、自身の投稿する内容を見返し、他人の著作権を侵害していないか、投稿前に確認することをお勧めします。
弊事務所では、著作権に関わるご相談(著作権利用許諾契約書等の契約書作成を含む)並びにチラシ及びウェブサイト等の広告法務チェック(著作権に加えて商標権、景品表示法、特定商取引法及び消費者保護法等の観点からのチェック)のサービスを提供しております。これらのサービスをご希望のお客様は、ぜひ弊事務所までご連絡ください。
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