top of page
  • 執筆者の写真Tomoharu OGAWA

Property Law履修完了!!

更新日:2021年9月1日

 2021年夏学期に履修しておりました科目「Property Law」のFinal Examが先週終わり、履修が完了しました。振り返ってみると、Chattel(動産)については、日本法とだいたい似た法体系となっておりますが、Estate(不動産)については、米国で遺言文化が根付いていることもあり、日本法と異なる部分も多いと感じました。また、この分野については、連邦法と各州法でも様々な立場を取っており、すべてを理解することは難しいですが、基本的な考え方を学ぶことが肝要だと思います。


 今学期学んだCase(判例)で一番興味深かったのは、Popov v. Hayashi (WL 31833731 Ca. Sup. Ct. 2002)です。これは、2001年、メジャーリーグにて、サンフランシスコジャイアンツ所属の打者バリー・ボンズが放った、当時のメジャーリーグホームラン記録の第73号ホームランボールの所有権をめぐる訴訟です。ホームランボールは打者が打った瞬間にMLB(Major League Ball Association)の所有物ではなくなり、そのボールをキャッチした観客の所有物と解釈されております。この世界記録のホームランボールをキャッチしようと、多くの観客が、ライト側外野席に集まっておりました。このホームランボールを最初にPopovがグローブで止めました(止めただけで完全にキャッチしたわけではない)が、同様にこのボールを狙う他の観客からアタックされ、ボールをこぼしてしまいました。その後、同様に群衆にもみくちゃにされたHayashi(同氏はPopovをアタックしていなかった)が群衆から抜け出したときに、たまたま転がっていたそのボールを手中に収め、ポケットにしまいました。このホームランボールの所有権をめぐり、PopovがHayashiを訴えたのです(まさにAmerican Law Suitですよねw)。

 訴訟の結果はどうなったか、裁判所は、このホームランボールをオークションにかけ、売上を2人で折半するよう命じたのです。こういった折衷的な裁判結果は珍しいですが、どちらの側にも正当な理由があったため、こういった結論になったと思われます。Popovは群衆からアタックされなければ、ボールを完全にキャッチしていたであろうこと、Hayashiはpopovをアタックしておらず、かつ転がっていたボールをキャッチしたこと(誰の所有物でものない物を拾った者はその物の所有権を取得する)。この判例は非常に楽しく読ませていただきました。たまにこういった面白い判例が出てくるのも、米国法を学ぶ一つの楽しみです。ご興味のある方はぜひご一読ください。


Popov v. Hayashi, 2002 WL 31833731 (2002): Case Brief Summary - Quimbee



 これで米国ロースクールで4科目履修したことになり、ようやく折り返し地点に来ました。卒業まであと1年4か月、もう少し頑張ります!!秋学期はProperty Lawと関連のある、「Trust and Estates」を履修します。特に信託については、日本であまり普及していないので学習することが楽しみです。


 当事務所では今後も、米国ロースクールで学んだ法律、英語力を活かして、サービス品質向上に努めてまいります。引き続きよろしくお願いいたします。


閲覧数:40回0件のコメント
bottom of page